資産の分割対策とは?

今回は、「資産の分割対策」についてお話しします。

相続が発生した場合で、どうしても問題になるのが、

「遺産をどのように分割するか?」

です。

法定相続分通りに分割するとしても、そう簡単に遺産を分けられるものではありません。

なぜなら、分割しなければならない遺産には、

分割しずらい不動産

が含まれていることがほとんどだからです。



もちろん、遺産が現金もしくは有価証券など、現金化しやすいものであれば、分割するのは難しくありません。

ところが、そこに、アパートやマンションが一つ加わるだけでどうでしょうか。

アパートやマンションそのものを「物理的」に「分ける」ことは不可能です。


そのため、遺産にアパートやマンションが含まれている場合、

(1)売却して現金化してから分割

(2)代償分割

という分割方法が考えられます。

(1)の売却して、現金化してから分割する、というのは分かりやすい方法です。


しかしながら、大きなアパート・マンションがそう簡単に売却できるかというと、そうではありません。

もちろん、安い価格設定にすれば、早く売れる可能性は高まりますが、相続人は通常、一円でも高く売れてほしい、と考えているものです。

結果的に、価格設定にしても、相続人の思惑も交錯して、なかなか話がまとまらないことも往々にしてあります。


つまり、この、売却してから現金化、という分割方法は、けっこう時間のかかる分割方法と言わざるを得ません。


続いて、(2)の代償分割です。

これは、例えば、相続人が3人(長男・長女・次女)という場合を考えてみます。

代償分割では、例えば、アパートを長男が単独で相続するとします。

このとき、長女と次女は、そのアパートに相応する金額を現金等で取得するようにするのです。

もちろん、このときに問題になるのは、アパートにどれぐらいの価値があるのか、ですが、これについては、不動産業者さんや税理士など、専門家の意見を聞いて判断しなければなりません。

また、この方法にしても、相続人それぞれの思惑が絡んできます。

例えば、アパートの価値が5000万円と判断されたとしましょう。

ところが、長女が、

「そんな安いはずはない。8000万円はするものだと思う。私も不動産業者にヒアリングするから・・・。」

というようなことを言いだし、さらに分割までに時間がかかってしまう、というようなケースもあります。


このようなこともあり、こと、分割、ということを考えると、大きなアパートやマンションでは、

遺産として分けずらい

ということが言えます。


ですので、ハウスメーカーの営業マンが提案するような、大きなアパート・マンションの建築、だけでは、相続対策としては片手落ちになるのです。